浜松町CLUB JUNK BOX TOKYO BAYで行われた"ウタノチカラvol.1"を見てきました。 浜松町CLUB JUNK BOX TOKYO BAYは新潟、長野、仙台にあるCLUB JUNK BOX系の ライブハウスで、10月6日にオープンしたばかり。
 この日の出演者の実力については折り紙付き(私の折り紙では効き目が弱いかも しれませんが…)、Pigeon's Milk以外は顔見知りという、私にはとても嬉しい 組み合わせのイベントです。Pigeon's Milkも気に入っているアーティストです。 余談ですが、私の場合、一方的に知っているアーティストの数に比べて、 顔見知りになるアーティストの数は多くありません。継続的に見ていきたいと 思っているアーティストとは知り合いになることが多いですが、そうでない場合、 下手に顔がバレていると「また来ていない」と思われたりしますし、 応援をやめにくいものです。もちろん「知り合いだから応援する」ということでは ありません。
 こんなすごいイベントに遅れるわけにはいかないということで、仕事は休み。 この冬一番の寒波襲来ということでしたが、日中は穏やかな日差しが降り注いでいて 暖かいくらい。14:30頃会場に到着すると、入り口からPigeon's Milkのメンバーが 出てきました。他にも高岡奈央さんのスタッフや拝郷メイコさんのスタッフも 忙しそうにしていました。ふと2階を見上げると、ギターを抱えたメイコさんが 現れて、私を見つけるなり「早いっすよ」と声をかけてきました。しばらく外で 練習をしていたメイコさんでした。奈央さんのメンバーは14:45頃到着。メンバーも 顔見知りということで、軽く挨拶したりしていました。15:20頃に中から ハッチズクローバーのメンバーが出てきました。リハーサルが終わったとのこと。 「PA外注しちゃいました」とか話していました。15:40頃にはPigeon's Milkの メンバーが戻ってきて、15:50頃にやっと[ma]の二人が到着。二人とも両手に たくさんの荷物を持ってよたよたと歩いてきて、Ayakoさんは「捨て犬のようです」 と自分達のことを話していました。今回は初心に戻って(?)初期の曲を中心に 唄うとのこと。16:10頃には中から奈央さんのリハーサルの音が漏れてきて、 既に中に入っていることがわかります。16:15頃には拝郷メイコさんが外に 出てきました。「寒くない?顔色悪いっすよ」と元気付けるように私の腕を軽く 叩いて、食事(?)に向かったメイコさんでした。この頃になると北風が強くなり、 寒波も嘘ではないことがわかります。16:45頃にはハッチズクローバーが会場まで 戻ってきましたが、またそのまま浜松町駅の方へ行ってしまいました。 ハッチズクローバーのメンバーも寒くないかと気遣ってくれていますが、好きで 待っていた私です(^_^;)。17:30頃には[ma]のAyakoさん、17:50頃には奈央さん一向が 出てきました。Ayakoさんが戻ってきて話しているうちに18時になり開場。開場すると 間もなくメイコさんも戻ってきました。メイコさんが親しげにお客さんに挨拶していて、 目深にかぶった帽子の女性をよく見たら新井裕子さんでした。以前も拝郷メイコさんの ライブを見に来ていたことがあり、11/24の"ウタノチカラvol.3"に出演が決まって います。[ma]の二人が緊張していて、Pigeon's Milkのリハーサルを見て怖気づいて いるようでした。実力的には[ma]の二人も確かなものを持っているので、安心して 大丈夫と言っておきましたが、効果はあったのでしょうか。[ma]の二人を新井裕子 さんに紹介したり(と言っても、この2組は長野の同じイベントで共演しています)、 そんなことをしているうちに開演時間になりました。
 会場の内部の構造はSt.GIGAスタジオだった頃に来たときとほとんど変わって いなくて、ステージ前には椅子が用意されていました。その椅子は開演時には ほとんど埋まっていて、後ろの方は立見多数という状態。ステージもそれなりに 高さがあるので、見やすい印象でした。

○Pigeon's Milk
  ステージ見るのは7回目(ストリートライブを含む)。Gt,Vo(女),Gtのメンバーのみ
  によるアコースティックバージョンです。
 1. Frozen time
    せつなく強い唄です。後半の激しさなど、演奏もきれいに決まっています。
 2. あの日の空
 MC 告知。メンバー紹介。
 3. 無限の空へ〜ミス・ビードルの翼〜
 4. 名前のない花
    この曲は以前から好きだった曲。今回は少しあっさりした印象がありました。
    音に広がりがある一方で、うまくまとまっていました。
 5. りんご
    唄に温かみを感じさせます。
 6. PIGEON
  どの瞬間を聴いてもしっかりした内容で、ボーカルのロングトーンなども安定して
  いました。実力を十二分に発揮できていたのではないでしょうか。家の外を吹き
  荒れる木枯らしと、家の中の庵の暖かさが共存していて、青森の冬の情景を
  感じさせます(ちょっとこじつけっぽいですが、メンバーは青森出身です)。

○[ma]
  KeyCho,Voの女性2人組。ステージを見るのは14回目。長野在住で、ついに東京で
  ライブをしてくれることになりました。mayuさんがセッティングするとき、小走りで
  ステージに現れ、椅子などを調整し終えた瞬間にマイクに頭をぶつけて、
  一部のお客さんが笑っていましたが、逆にこれで緊張がほぐれたのかもしれません。
 1. Hello!(love)[ma]!!
   [ma]のライブのオープニングで度々演奏する曲です。曲のエンディングで
  「初めての東京ライブ」という話をしていました。
 2. シンボル
    Ayakoさんのファルセットは若干弱め。
 MC 自己紹介。[ma]を結成して4年目、という話など。
 3. To sky
    長野平安堂「第2回集まれミュージシャンコンテスト」グランプリ曲。
 4. always
    今回一番良かったと思うのはこの曲。演奏の丁寧さがしっかりと伝わっていて、
    声の響きもきれいでした。
 MC 次は大切な人の誕生日に贈った曲。
 5. Happy Birthday
 MC CDの告知。「11月11日、ポッキーの日にオムニバスCDが発売されます。」
 6. ステップ
 7. aLIVE
  今回は初めての東京でのライブ、長野県外でのライブも数えるほどということも
  あってか、なるべく慣れている曲でまとめてきていました。二人が心配するのは
  無用なくらいしっかりしていましたし、十分に[ma]らしさが出ていたと思います。
  これまで見たライブでもAyakoさんが大きく崩れることはなく、正直なところ
  mayuさんの演奏の内容によって、全体の印象が大きく変わってくるところがあるの
  ですが、この日のmayuさんは開演前の話が嘘のように、うまくまとめていました。
  コーラスやmayuさんメインのパートも、バランス良くきっちり唄えていました。
  Ayakoさんは前半少しかたい感じがあったものの、本人が思う以上にプレッシャーに
  強いのでしょうね。いきいきと唄っていて鮮やかであり、表情に明るさがありました。
  久しぶりに見たのではっきりとは言えませんが、[ma]としての実力をだんだん
  出せるようになってきたのかもしれません。

○高岡奈央
  ステージを見るのは34回目(NA0を含む)。Bs,Dr,Vo,Gtのバンドバージョン。
 1. 米の力
    会場のPAの関係もあると思いますが、ちょっと音が回りすぎている感じが
    しました。この曲は歌詞のインパクトが鍵なので、もう少しタイトなサウンドに
    なるとボーカルが映えると思います。
 2. 100円ショップ
 MC 話し始める前にGtを持つ奈央さん。彼女がギターを弾くところを見るのはたぶん
    初めてなので、ちょっと嬉しくなってしまいます。
    「おばんです。JUNK BOX TOKYO BAYオープンおめでとう」
    11月に発売されるオムニバスCDの告知。
 3. デメキンの唄
    奈央のギター弾き語りから入ります。ちょっと危なっかしいところもありましたが、
    とりあえずは形になっていました。ギターを使うのはこの曲のみでした。
 4. らくちん
    かなり激しく飛びはね、動き回りながら唄っていますが、ボーカルがブレることも
    なく、むしろ力強くなっているのはすごいです。
 MC 「お客さん近い…。」ライブ告知。
 5. ちょちょら
  この日の出演者の中では高岡奈央さんが一番若いのではないかと思うくらい(実際は
  どうでしたっけ?)、ポップな内容ではじけていました。パワーと勢いで押しまくり、
  お客さんを圧倒する感じ。そのうちスタンディングで満員のお客さんの中、
  CLUB JUNK BOX TOKYO BAYを揺らしてくれるのではないかと期待しています。
  広い音域に渡って安定したボーカル、ボーカルと一体化した演奏など、ステージが
  狭いと感じさせる完成度でした。

○拝郷メイコ
  本人のGtVoのみ。ステージを見るのは42回目(Fragrance Balance、May、拝郷芽衣子
  を含む)。
 1. やさしいちから
    イントロでGtのボリュームペダルが踏み込まれていなくて、とぼけた表情で
    さりげなくボリュームを上げて弾き続けていました。なんとなくさらっと流れて
    しまった感じがあり、もっと深みを出して欲しい気もしますが、1曲目なので
    多少抑えていたのかもしれません。前半のアルペジオは若干ばらつき気味。
 MC 「早速なんですけれども拝郷メイコです。初めてのところなんですけれども、
    いっぱいお客さんがいるので頑張って唄います。」
 2. よるのなか
    スーッと吸い込まれるような感覚は、他のアーティストの唄ではなかなか感じ
    られません。
 MC 「こんばんは、拝郷メイコです。」自己紹介。これまで発売しているCDについて
    「ケチケチしないで全部持ってきました。」11月に発売される「メロディ」に
    ついては「前のライブを見に来てくれたお姉ちゃんが『これは売れる』って
    言っていました。」とのこと。
    「この曲があったおかげで今ここにいる気がしてなりません。」と次の曲へ。
 3. トマトスープ
    何度聴いても、この曲での唄い方は背筋がゾクゾクします。後半になるにつれて
    どんどん曲の奥深いところへ引きずり込まれる感じがします。
 MC 「人生いろいろあって、ほんとイヤ…(嫌なこともあると言おうとして止める。
    すぐに訂正するように)今はいいですけど。」
    「拝郷メイコ出前生唄10000人のメロディ」企画について。ギターを持って
    どこへでも行って「メロディ」を聴いてもらい、10000人を目指す企画です。
    これまではノートにメッセージを書いてもらっているようですが、今回のような
    人数(メイコさん曰く150人くらい)では難しいものがあります。チラシに
    名刺よりも一回り小さな紙が付いていて、それがアンケート用紙代わりになり、
    それをそのままノートに張り付けることにしたようです。オフィシャルページで
    発表されている人数がどのように数えられているのか疑問だったのですが、
    納得しました。
 4. 赤い星
    「メロディ」のカップリング曲。この曲はまだまだ私に届きにくい感じです。
 5. メロディ
    「『ウタノチカラ』…すごい良い言葉だと思います。今日は出れて良かったです」
    とイントロに合わせて話していました。バンドサウンドでの圧倒的なパワーを
    持った「メロディ」ばかり聴いていましたが、ギター弾き語りでもそれに負けない
    メイコさんのメロディ(音楽)に対する情熱を感じさせます。
  拝郷メイコさんの唄には、細やかな息づかい、彼女の鼓動が脈打つ様子、漂う
  香り、身体中から発している体温など、聴いている人の五感に直接訴えかけるような
  力があるようです。ステージとの距離を感じさせないのも、彼女の声と歌唱力による
  ものだと思いますが、言葉や音の一つ一つにメイコさんの音楽に対する魂が込められ
  ているからなのでしょう。

ここで[ma]の二人は帰りの新幹線の関係で時間切れとなり、他の長野組のお客さんと
共に会場を後にしました。新井裕子さんもこの頃に帰られたのかもしれません。

○ハッチズクローバー
  Bs,Dr,Vo(女),Gt。今回はKeyのサポート付きです。ステージを見るのは36回目
  (ストリートライブを含む)。
  本来のハッチズクローバーの理想とする構成で、撮影スタッフも入っていたり、
  PA外注の話もあったりして、かなり気合いが入っていることが感じられます。
 1. くじら雲
 2. 星くずホテル
    なめらかなメロディーの曲。
 MC 秋の話題から「秋ナスが好き」と話すハッチさん。
 3. 海にいこう
 MC ストリートライブをずっとやっているため、今回のように天井があると息苦しい
    とのこと。
 4. トクベツ
 MC ライブ告知。
 5. おにごっこかくれんぼ
 MC CD告知。
 6. スウプ
  前半はリゾート系の穏やかな時間の流れを感じさせる曲が中心、後半はバラード系
  という構成でした。唄や演奏がしっかりしているので、この日の締めくくりとして
  安心して聴いていられます。なぜかハッチさんがティアラを付けて唄っていた頃の
  ことを思い出したりしていましたが、あの頃に比べたらハッチさんも大人になった
  ものです(笑)。まだまだ彼女の衣装やキャラクターに、唄とのギャップを感じる人も
  多いかもしれませんが、ギャップを意識しなくなったときに、ハッチズクローバーの
  真価が理解されるのかもしれません。
  アンコールの拍手が起こりますが、さすがにこのタイプのイベントでは難しい。

 [ma]は一足先に帰ってしまいましたが、本人たちが出演後にCD販売、今度の オムニバスアルバムの予約受付をしていましたし、終演後は各アーティストが CD販売コーナーに出て直接販売していました。拝郷メイコさんはスタッフよりも 大きな声で客寄せしているし…。結構フランクな状況で、写真撮影に応じたりして いました(私はカメラを持っていましたが撮影せず(^_^;))。
 今回の出演者の組み合わせは一見してバラバラなのですが、各アーティストとも 実力は確かで遜色のないこともありますし、全アーティストとも見たことがある 粋狂な人は私くらいでしょうから、お客さんにとっては“普段聴いていなかった 新しいジャンル”に触れるきっかけになったかもしれません。同系のアーティストを 集めるイベントもジャンルを深める意味では悪くはありませんが、お客さんに 新鮮さを感じさせるイベントも良いものです。 メイコさんが「こんなこと普段言わないんだけど、良いイベントだった…」 としみじみ話していました。
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