伊藤サチコさんのワンマンライブ“僕の場所〜サチあれば楽あり2004〜”が 渋谷O-WESTで行われました。雨の降り続く一日でしたが、お客さんの出足は 好調でした。オールスタンディングで200人弱といったところでしょうか。 まるで映画館やホールコンサートのように、開演数分前に1ベル、開演直前に 2ベルが鳴り客電が落ちます。
 アレンジが変わった「MUSIC LIFE」のイントロが流れ、サポートメンバーと サチコさんが登場。サポートはイワイエイキチさん(Bs)、若森さちこさん(Dr)、 皆川真人さん(Key)、石崎ヒカルさん(Gt)。サチコさんはスーツっぽい型の衣装で ドレスアップしていました。当然マイクスタンドが用意されていますが、やや短めの 髪の上にはヘッドセット。ステージ後ろにはM字型に青空の映像などが 映し出されていて、あたかも本を開いたように見えます。開演は18:41頃。

 1. MUSIC LIFE
    音が充実しています。この1曲目でライブの完成度が予想されるくらいの
    濃厚なサウンドでした。唄には変な力みなどなく、真正面から音楽に向かって
    いることが感じられる素直な唄でした。
 2. 宿題
    ヘッドセットをはずします。若干フラットしそうになっていましたが、
    気になるほどではありません。
 MC 「皆さん、伊藤サチコワンマンライブにようこそ。たくさん来てくれて
    嬉しいです。最後まで楽しんでいきましょう。」
 3. 帰り道
    軽快な曲。シンプルなメロディーで楽しい雰囲気になります。
 MC 「改めまして伊藤サチコです。今日は“僕の場所〜サチあれば楽あり2004〜”に
    お越しくださりありがとうございます。前回の“サチあれば楽あり”は
    7th FLOORでやったのですが、今年はWESTです。いろんな感情を音に詰め込んで
    全員を染めたいと思っています。皆で忘れられない一日を作れるよう願って
    います。」
 4. カレンダー
    前半の弱めに唄う部分は少しふらつき気味でしたが、中盤からじわじわと
    力を出していきます。
 5. 春の道
    スリーフィンガー系フォーク調のすっきりとしたサウンドと、若森さんの
    コーラスが透明感のある曲に仕上げていました。Bs,Drなし。
 MC 「今日という日は1回しかないので、今日を楽しもうと選んだ(笑)ミュージシャンを
    紹介します。」ここで岡村美央さん(Vn)を呼び込みます。
 6. コップが割れた日
    張りのある唄い方をしていました。日常の中で忘れていたことをハッと
    思い出させるようです。
 7. 赤い魚
    この曲でもヘッドセットを使っています。よく過去の出来事を“水に流す”と
    言いますが、「コップが割れた日」で水に流した思い出が川へ出て、やがて海に
    たどり着き、潮が満ちて良いことも悪いことも含めたいろいろな過去の出来事が、
    にじり寄るように蘇ってくるみたいな唄でした。前曲からつながったアレンジ
    だったから、特にそう感じたのかもしれません。
 MC 「新曲を聴いてもらってもいいですか?」「いくら自分が変わっても始まりには
    戻れないことがわかっている。東京の空を見て汚れていると思ったけれど、空が
    汚れているのではなく、自分の心が汚れているのかもしれないと思った。」
 8. 東京の空
    3連の曲で「僕の場所」の続編的な内容になります。前半はやや単調なぐらいに
    まるで時計の秒針が刻むようなリズムが入っています。サビに迫力がありました。
    起きてしまった出来事、無くしてしまったものに対する、自分の無力さ、
    自分の責任を切々と訴えるような曲です。
 MC 「もう1曲新曲を。女の子としてのラブソングで、“わたし”という一人称が
    出てきます。」「(お客さんからの「がんばれ」の声に)がんばってます。」
 9. 三日月の夜
    Vnのサポートはここまで。どちらかといえば「宿題」的なすっきりした
    メロディーの曲。サビ部分のファルセットは弱め。
 MC 「楽しんでいますか。ここからもう後半戦。盛り上がっていかないとだめだよ。
    体も動かして帰って欲しい。」
10. 夕陽ありがとう
    この曲から畳み掛けるように盛り上がりモードになります。
11. 虹と夕日と
12. あの日のこと
13. 花束
 MC 「本当に来てくれてありがとう。ワンマンライブは初めて(?)のことなので、
    気合いは入れていたんですけど、お客さんが来てくれないと完成しないので。
    周りの人への感謝と自分が成長できたものを全部出しているので、受け止って
    ください。殻を破って突き進んでいくので、ついて来れる人はついて
    来てください。」
14. マフラー
    ここから再び美央さん(Vn)が入ります。この曲も充実しています。
15. 僕の場所
    声が裏返るところもあったり、ミスタッチもあったりしましたが、いかにも
    “唄い上げる”という言葉が似合うような唄でした。

本編終了は20:06頃。アンコールになります。

 MC 「(お客さんの)“かわいい”というのに反応してしまう自分が嫌だ…。」
    「呼んでいただいてありがとうございます。」まるでイベントに呼ばれたように
    言っていました。呼んだというのはもちろんアンコールのことでしょうけれど。
E1. 心の扉
    声がきれいに伸びています。
 MC 「ありがとうございました。伊藤サチコでした(みんな知ってるって)。」

 メンバーを見送って、お客さんににこやかに手を振ってステージを降りる サチコさんでした。この後は「僕の場所」のアレンジしたものが流れ、スクリーンに 映像が映し出されます。最後にはスタッフの名前が映画のエンドロールのように 映されて終了。20:15頃でした。
 ある意味、計算された通りのライブがきっちりとできていたと思います。 「MUSIC LIFE」と「僕の場所」が、今のサチコさんにとって核となっている曲と 思っているので、この2曲がオープニングとエンディングだったことからも、 “伊藤サチコ”というアーティスト像をうまくまとめ上げることができていた気が しました。これまでの活動の集大成という印象よりも、これからの活動の基盤となる ライブだったと思います。方向性としてはまだ模索している感じもありますが。
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copyright かみと,2004