ジムノペディのライブを六本木morph-tokyoで見てきました。
○おじょう
Key(女),Bs,Dr,Vo(女),Gtの歌謡ジャズ系のバンド。途中からVoがKeyVoになって
いました。和傘を持ち着物を羽織って登場したボーカルは、ハスキーで太めの声で
だみ声と言えますが迫力があります。バンドとしてのまとまりもよく、お客さんが
振り付けを合わせたりしていて、一体感のあるバンドでした。
○musicaa nossa
Key(女),Bs,Vo(女),Dr,Gt。ゲストでSaxが入っています。音楽的にはジャズ寄りに
位置づけられると思います。「ブロンディ」という曲が印象的でした。前半はやや
退屈な展開でした。後半になりだんだんボーカルがフラットしていたのが気に
なるところ。ボーカルの大和女幸(やまとこゆき)さんは、かつて元ジムノペディ
(ということになるのですが)の笹沢さんと活動していたこともあるようです。
○木製の椅子
Bs,Key,Vo(女),Dr,Gt。アングラなブルース系。「スタンド」「最果てのバラード」
といったあたりが印象的です。バラードの「道」は他の曲とは毛色が違う一般受け
しそうな曲でしたが、こういう音楽をやりたかったとのことでした。以前この
バンドを見たときはなかなか入りにくい感じだったのですが、おじょうやmusicaa
nossaに引き続いて聴くと結構入ってくる感じでした。声のタイプは三角堂の
流さんを思わせるところがあります。
○紅月ノリコ
Bs,Dr,KeyVo(女)という構成。「そんなに仕事がしたいなら…」と唄う曲は単調な
歌詞の繰り返しが続きますが、かなりインパクトがあります。最後に唄っていた
「原石と宝石」はAメロのあたりカバー曲かと思ってしまいました。重みのある
唄でした。
○ジムノペディ
1. 針の揺れ方
2. トレモロ
MC イントロ中に挨拶。
3. ジェリー
4. 傘もささずに
5. ツェッペリン
MC グッズについて。
6. エリー・リー・ブルース
7. シャムレイ
MC ナオミさんが3月31日で28歳になった。誕生日に風邪をひいてしまった。
E1. エトピリカ
先日脱退した笹沢早織さん(Key)と永長健さん(Bs)がサポートとして参加する最後の
ライブになります。脱退に関する儀式的なこと(?)は先日の脱退発表時に済んでいる
という位置づけのようで、現状のジムノペディとして演奏することが自然な選曲
でした。内容的にはやや抑え気味のところが感じられ(ナオミさんの風邪は言われる
までわかりませんでした)、「ジェリー」でのベースのトラブルや「ツェッペリン」
で歌詞落ち(言葉に詰まった?)などもあったりして完成度が高いとは言えません。
抑えるところでの静寂は気持ちよいものがありましたが、派手さは少なめでした。
ワンマンライブを経て、現メンバーとしての終焉を迎えフェードアウトしていく
感じのライブ。この日は「ツェッペリン」が最大の聴かせどころだったと思います。
今回の選曲で「トレモロ」や「ジェリー」といった古くから演奏している曲を
入れていることが、むしろ意外に感じました。メンバーの変遷があって、音楽の
位置づけとして安定しない、あるいは“意識的に流動しているdrifter”としての
ジムノペディは、時間とともにその表情をどんどん変えていくのだろうと考えると、
「トレモロ」や「ジェリー」いずれ「エトピリカ」であっても似合わないバンドに
なっていくことが考えられます。過去を切り捨てるように前に進んでいることで
「ジムノペディは期待を裏切らない」という保証を捨てて、いつも新しいバンドで
あり続けようとしているのかもしれません。たとえば“『雨、ところにより花吹雪』
は好きだけどポコペディは嫌い”というように、はっきりしたバンドになろうと
している、そう考えると昨年のアルバム単位でのライブにも別の意味があったと
思えます(まるでクラシックのコンサートのように、演奏曲目で判断させるような)。
いくら流動的なバンドであっても、新メンバー加入によって芯の部分がブレるわけは
なく、基本的には今の延長線上に位置づけられる音楽となると思いますが、やはり
今後の方向に不安は付きまといます。
今回の出演バンドは大雑把にくくると同系統の音楽のタイプと感じますが、
それぞれの向いている方向性が微妙に異なっているところで個性を感じさせ、
それが好き嫌いを分けるところになるかと思います。morphらしいディープさは
もう少しあってもよかったようには思いますが。
客席に歌姫楽団の樋口舞さんが来ていました。歌姫楽団は音楽的にはおじょうが
一番近いと言えるかもしれません。
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かみと,2007